新NISAとは?非課税の仕組みと始め方、2027年からの改正までやさしく解説

新NISAとは、株式や投資信託で得た利益に税金がかからなくなる国の制度です。2024年から始まった今の制度では、年間最大360万円、生涯で1,800万円まで投資でき、非課税で持ち続けられる期間に期限はありません。2027年からは、0歳から17歳の子どもも「つみたて投資枠」を使えるようになります。

名前はよく聞くけれど、何がどうお得なのかは分からない。口座を開いてみたものの、枠の使い方に自信がない。そんな方に向けて、この記事では新NISAの仕組みを公的な情報をもとに整理し、始め方と注意点、2027年からの改正までを順に紹介します。

どの商品を選べばよいかは、目的と期間によって変わります。商品の比べ方は金融商品の選び方で詳しく扱っているので、あわせて読んでみてください。

目次

そもそもNISAとは

NISA(少額投資非課税制度)は、投資で得た利益にかかる税金をゼロにする制度です。通常、株式や投資信託を売って得た利益や、受け取った配当・分配金には税金がかかります。国税庁によると、上場株式等の譲渡益にかかる税率は所得税15%と住民税5%の合計20%で、これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わり、合計では約20.315%になります。

たとえば、投資で100万円の利益が出たとします。通常の口座なら約20万3,000円が税金として差し引かれ、手元に残るのは約79万7,000円です。NISA口座なら、100万円がそのまま手元に残ります(当サイトの試算)。

NISAは、金融庁によると2014年に始まり、2024年1月に今の制度へと大きく拡充されました。この記事では、2024年からの制度を「新NISA」と呼びます。

口座を開けるのは、日本に住んでいて、口座を開く年の1月1日時点で18歳以上の人です。口座は1人1つだけで、金融機関の変更は年単位でできます(金融庁)。

新NISAの仕組み

仕組みは、「2つの投資枠」「生涯の上限と枠の再利用」「無期限の非課税期間」の3つを押さえると理解しやすくなります。

2つの投資枠を組み合わせて使う

今の制度には、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、同じ年に両方を使えます。金融庁によると、それぞれの特徴は次のとおりです。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間の投資上限120万円240万円
生涯の上限(非課税保有限度額)1,800万円(2つの枠の合計)うち1,200万円まで
主な対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託上場株式・投資信託など
買い方積立一括でも積立でも可

出典:金融庁「NISAを知る」をもとに当サイト作成

つみたて投資枠で毎月の積立を続けながら、成長投資枠で個別の株式をまとめて買う、といった使い方ができます(金融庁)。2つを合わせると、年間最大360万円まで投資できます。

つみたて投資枠の対象商品には、販売手数料がゼロであること、信託報酬が一定の水準以下であること、毎月分配型でないことなどの要件があります(金融庁・2024年)。初めての人でも、手数料の高い商品を避けやすい仕組みです。

生涯の上限は1,800万円、売れば枠が復活する

生涯で非課税で持てる金額の上限(非課税保有限度額)は、金融庁によると1,800万円です。このうち成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。

毎月の積立額によって、この上限に届くまでの年数は大きく変わります。毎月10万円なら15年、毎月3万円なら50年です(当サイトの試算)。多くの人にとって、1,800万円は急いで埋める枠というより、長く使い続けられる枠だと考えてよいでしょう。

この上限は、買ったときの金額(簿価)で計算します。商品を売った場合は、売った商品の簿価の分だけ、翌年以降に枠が復活して再び使えます(金融庁)。

たとえば、100万円で買った投資信託が値上がりして150万円になり、それを売ったとします。翌年以降に復活するのは、値上がり後の150万円ではなく、買ったときの100万円分です。売った年のうちに枠が戻るわけではない点も覚えておきましょう。

非課税で持てる期間は無期限

以前の制度では、非課税で持てる期間が、つみたてNISAで20年、一般NISAで5年と決まっていました。今の制度ではこの期間が無期限になり、制度そのものも期限のない恒久的な制度になりました(金融庁)。

期限を気にせずに持ち続けられるため、老後資金のように長い時間をかけて準備するお金に向いています。なお、金融庁によると、2023年までの制度で買った商品は、1,800万円とは別枠で、引き続き非課税で保有できます。

2023年までのNISAとの違い

2023年までの制度と比べると、変わった点がよく分かります。金融庁の説明をもとに整理すると、次のとおりです。

項目2023年までのNISA2024年からの新NISA
年間の投資上限つみたてNISA 40万円、一般NISA 120万円つみたて投資枠 120万円、成長投資枠 240万円
2つの制度・枠の併用どちらか一方を選ぶ同じ年に併用できる
非課税で持てる期間つみたてNISA 20年、一般NISA 5年無期限
生涯の上限設定なし1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)
売った分の枠復活しない翌年以降、簿価の分だけ復活
制度の期限時限的な制度恒久的な制度

出典:金融庁「NISAを知る」をもとに当サイト作成

数字で見る新NISAの広がり

利用は、制度が始まってから急速に広がっています。金融庁(2026年)の「NISA口座の利用状況調査」によると、口座数と買付額の推移は次のとおりです。

時点NISA口座数累計の買付額
2023年12月末(旧制度)2,125万口座35兆円
2024年12月末2,559万口座53兆円
2025年12月末2,821万口座71兆円

出典:金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果(令和7年12月末時点)」(2026年7月3日公表)

同じ調査によると、政府は2027年12月末までに口座数3,400万口座、買付額56兆円という目標を掲げていますが、買付額はすでにこの目標を上回っています。口座数も、新NISAが始まってからの2年で700万口座近く増えました。

利用者が増えている一方で、口座を開いただけで投資をしていない人や、枠の仕組みを理解しないまま使っている人もいると考えられます。仕組みを知ったうえで使うことが、制度を生かす前提になります。

2027年からの改正で変わること

2026年3月に成立した税制改正により、新NISAはさらに使える範囲が広がります。財務省によると、主な内容は次のとおりです。

子どももつみたて投資枠を使えるようになる

2027年から、つみたて投資枠の対象年齢が0歳まで広がります。大学進学など、成人後のライフイベントに備える資金を、子どもの名義で長期に積み立てられるようにするものです。

項目0〜17歳18歳以上(現行どおり)
使える投資枠つみたて投資枠のみつみたて投資枠と成長投資枠
年間の投資上限60万円360万円(2つの枠の合計)
生涯の上限600万円1,800万円
払い出し12歳以降、子の同意などの要件を満たせば可能制限なし

出典:財務省「NISAのつみたて投資枠の拡充(令和8年度改正)」をもとに当サイト作成

子どもが18歳になると、大人のNISAへ自動的に移行します。親などが口座を管理し、12歳以降に払い出す場合は、資金の使い道が子どものためであることと、子どもが払い出しに同意したことを示す書面が必要です。

教育資金の準備を考えている方は、生活設計(ライフプラン)の立て方で紹介した児童手当の積み立てなどとあわせて、選択肢の一つとして検討できます。

つみたて投資枠の対象商品が広がる

金融庁(2025年)の資料によると、税制改正大綱では、つみたて投資枠の対象として、TOPIXなどの株式指数の追加や、債券を中心に運用する投資信託の追加も示されています。値動きの大きい商品に抵抗がある人でも、投資の第一歩を踏み出しやすくする狙いです。

対象となる具体的な商品は、金融庁が公表するつみたて投資枠の対象商品一覧で確認できます。

口座の住所確認の手続きがなくなる

同じ資料によると、金融機関がNISA口座を開いた人の住所などを、口座開設から10年後(その後は5年ごと)に確認する手続きを廃止することも盛り込まれています。これまでは、この確認ができないと新しい買い付けが止まるおそれがありました。引っ越しの多い人にとっては、手間と不安が一つ減ることになります。

新NISAの始め方

始めるまでの流れは、金融機関を選ぶ、口座を開く、商品と金額を決める、の3段階です。

金融機関を選ぶ

NISA口座は銀行や証券会社などで開けますが、1人1口座のため、最初の金融機関選びが大切です。変更は年単位でできますが、手続きの手間がかかります。

比べるときは、扱っている商品の数、積立できる最低金額と頻度、成長投資枠で個別の株式を買えるかどうか、を確認しましょう。金融機関によって取り扱う商品は異なります。

口座を開く

口座の開設は、金融機関のウェブサイトや窓口から申し込みます。本人確認など、必要な書類や手続きの流れは金融機関の案内に従ってください。口座は1人1つだけなので、以前にほかの金融機関でNISA口座を開いたことがある人は、その口座の状況も確認しておきましょう。

商品と金額を決める

最後に、何に、いくら投資するかを決めます。ここで役立つのが、これまでの記事で紹介した考え方です。

投資に回すのは、数年以内に使う予定のない、長く置いておけるお金にします。生活防衛資金を預金で確保したうえで、残りのうち毎月無理なく続けられる金額を積み立てるのが基本です。金額は途中で変えられるので、まずは少額から始めて、家計の様子を見ながら調整できます。

非課税の効果がどのくらいになるかも、目安として確かめておきましょう。仮に毎月3万円を20年間積み立て、年3%で運用できたとすると、積み立てた720万円が約987万円になり、利益は約267万円です。通常の口座ならこの利益に約20.315%、約54万円の税金がかかりますが、NISA口座ならかかりません(当サイトの試算。年3%はあくまで計算のための仮定で、実際の運用成果は上下し、元本を下回ることもあります)。

よくある誤解と注意点

損失は他の口座の利益と相殺できない

NISA口座で出た損失は、税金の計算上なかったものとして扱われます。国税庁によると、NISA口座で取得した上場株式等を売って生じた損失は「ないものとみなされ」ます。そのため、特定口座など他の口座の利益と相殺(損益通算)したり、翌年以降に繰り越したりもできません。

非課税というメリットの裏返しとして、損失が出たときの税金上の救済はない、ということです。

株式の配当金は受け取り方によって課税される

成長投資枠で個別の株式を買う場合は、配当金の受け取り方に注意が必要です。日本証券業協会によると、NISA口座で買った上場株式の配当金などを非課税にするには、証券会社の口座で配当金を受け取る「株式数比例配分方式」を選んでおく必要があります。郵便局などで受け取る方式や、銀行口座で受け取る方式を選んでいると、NISA口座で買った株式でも配当金に税金がかかります。

なお、同協会によると、NISA口座で買った投資信託の分配金については、この手続きは必要ありません。

非課税でも元本は保証されない

NISAは税金の扱いを変える制度であって、投資した商品の値動きを守る制度ではありません。株式や投資信託は値下がりすることがあり、元本を下回ることもあります。「国の制度だから安全」と考えるのは誤解です。

枠が戻るのは翌年以降、簿価の分だけ

先ほど見たとおり、売ったあとに枠が戻るのは翌年以降で、戻る金額は買ったときの金額です。値上がりした商品を売って別の商品に乗り換えると、その年の枠を余分に使うことになります。短期の売買を繰り返すと、枠を効率よく使えなくなる点に注意が必要です。

まとめ

新NISAは、株式や投資信託の利益にかかる約20%の税金をゼロにする国の制度です。年間最大360万円、生涯1,800万円まで投資でき、非課税の期間に期限はありません。売った分の枠は翌年以降に簿価で復活し、2027年からは子どももつみたて投資枠を使えるようになります。

一方で、元本は保証されず、損失を他の口座の利益と相殺することもできません。制度の仕組みを理解し、生活設計で決めた目的と期間に合わせて使うことが、新NISAを生かす近道です。

最初の一歩として、今の家計から毎月いくらなら無理なく長く積み立てられるかを計算してみてください。その金額が決まれば、どの枠をどう使うかも自然に見えてきます。

参考文献


ご注意

本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品・投資手法を推奨するものではありません。投資には価格の変動によって損失が生じ、元本を下回るリスクがあります。株式の配当は、業績などにより減配・無配となる可能性があります。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任でお願いいたします。

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