SNS型投資詐欺の手口と見分け方|被害は年1,288億円、振り込む前と後にできること

SNS型投資詐欺とは、SNSなどで知り合った相手が、会わないまま信用させ、投資金や利益の出金手数料といった名目でお金をだまし取る詐欺です。警察庁によると、2025年の被害は9,523件、1,288億円にのぼり、前年から5割近く増えました。1件あたりにならすと約1,350万円です(当サイトの試算)。「必ずもうかる」「元本保証」「個人名義の口座への入金」は、それだけで詐欺を疑ってよいサインです。

「自分はだまされない」と思っていても、手口は年々巧妙になっています。この記事では、警察庁の統計、金融庁と預金保険機構の情報をもとに、被害の実態、典型的な流れ、見分けるためのサイン、振り込む前に確かめる手順、振り込んでしまった後にできることまでを整理します。

目次

被害は1年で5割近く増えた

警察庁(2026年)によると、SNS型投資詐欺の被害は次のように増えています。

年認知件数被害額
2024年6,413件871.1億円
2025年9,523件1,288.0億円
増え方48.5%増47.9%増

出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」をもとに当サイト作成

2025年は、月ごとに見ると後半ほど被害が増え、12月だけで1,326件、209.7億円の被害がありました(警察庁・2026年)。SNS型ロマンス詐欺と合わせると、2025年の被害は15,168件、1,834.3億円で、1日あたり5.0億円の被害が出ている計算になると警察庁は示しています。

被害にあっているのは40〜60代が中心、ただし若い世代も

被害者は幅広い年代に及び、男女ともに40代から60代が多くを占めています。男性の被害が件数・金額ともに約6割です(警察庁・2026年)。

年代認知件数(男女計)全体に占める割合
20代556件約6%
30代924件約10%
40代1,623件約17%
50代2,559件約27%
60代2,250件約24%
70代以上1,573件約17%

出典:警察庁(2026年)の年代別・男女別の認知件数を当サイトで合算(10代の35件を除く)

20代と30代だけでも、年間1,480件の被害が出ています。また、親の世代にあたる50〜60代の被害は全体の半分を占めます。自分だけでなく、家族と手口を共有しておく意味は大きいといえます。

入口はSNSの広告とダイレクトメッセージ

警察庁によると、被害者が最初に接触した手段は、SNSなどのバナー広告が3,785件、ダイレクトメッセージが3,549件で、この2つで全体の約8割を占めました。

最初の接触手段主なツール(件数)
バナーなどの広告YouTube(1,024件)、投資のサイト(697件)、Instagram(617件)
ダイレクトメッセージInstagram(1,000件)、LINE(633件)、Facebook(485件)

出典:警察庁(2026年)をもとに当サイト作成

特に増えたのがYouTubeの広告からの被害で、前年の49件から1,024件に急増しました(警察庁・2026年)。最初の入口が別のSNSでも、その後のやり取りはLINEに移されることがほとんどで、SNS型投資詐欺の93.5%がLINEでの連絡に移っていました。

著名人をかたる広告の見分け方

警察庁は、著名人をかたる広告から投資グループに誘導する手口について、次のような特徴を挙げています。

特徴見るポイント
動画が不自然口の動きと声が合わない、日本語の表記が誤っている
アカウントが未認証著名人を名乗っているのに、公式の認証マークがない
LINEに誘導する広告から「LINEに登録を」と案内される
甘い言葉で誘う「必ずもうかる」「元本保証」などと書かれている

出典:警察庁(2026年)をもとに当サイト作成

典型的な流れ

金融庁が注意喚起している事例をもとに、よくある流れを整理すると、次のようになります。

段階起きること
1. 接触著名人を名乗る広告や投資関連の投稿からDMが届き、LINEのグループに誘われる
2. 信用させるグループに「講師」や「アシスタント」が登場し、サクラが「もうかった」と投稿する
3. 入金させる証券口座に見せかけたアプリを入れさせ、個人名義の口座への入金を指示する
4. もうかったと思わせるアプリ上で利益が出ているように表示し、最初は少額の出金にも応じる
5. 追加で入金させる安心させたところで、さらに高額の入金をさせる
6. 出金させないまとまった額を引き出そうとすると、手数料や税金の名目で入金を求め、やがて連絡が取れなくなる

出典:金融庁「それ詐欺です!SNS上の投資勧誘にご注意ください!」「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」をもとに当サイト作成

最初のうちは利益が出て出金もできるため、疑いにくいのがこの手口の特徴です。「少額でも出金できたから本物だ」と考えるのは、よくある誤解です。

お金を送る方法は、振込が74.9%、暗号資産の送金が19.9%でした。暗号資産を送らせる手口は、前年から件数が2.5倍に増えています(警察庁・2026年)。振込のうち約7割は、インターネットバンキングを使ったものでした(警察庁・2026年)。

こんな言葉や要求は詐欺を疑う

金融庁は、次のような事例に当てはまる、または似ている場合には、投資詐欺の可能性が高いとしています。

  • 著名人や政府の要人の画像を使い、「政府公認」「金融庁の免許がある」などとうたう
  • 実在する証券会社や運用会社に似た名前を名乗る、登録番号を偽る
  • 「プロ投資家向けの特別な口座」「無料で注目株を教える」など、特別扱いを強調する
  • 身に覚えのない新規公開株(IPO)に当選したとして入金を求める
  • 入金先に個人名義の銀行口座を指定する
  • 出金しようとすると、手数料や税金の名目で追加の入金を求める

特に覚えておきたいのが、個人名義の口座です。金融庁は、証券会社が入金の際に個人名義の銀行口座を指定することはないとしています。

振り込む前に確かめる手順

投資の勧誘を受けたら、お金を動かす前に、次の順で確かめます。

手順すること
1. 手を止める「今日中に」「あなただけ」と急かされても、その場で入金しない
2. 登録を調べる金融庁の「金融事業者一括検索機能」に、業者の名称や電話番号を入れて、免許・登録を受けているかを確かめる
3. 警告を調べる金融庁が公表している「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等」に名前がないかを確かめる
4. 自分で連絡先を調べる実在の業者を名乗っていても、相手から聞いた連絡先ではなく、公式サイトで自分で調べた窓口に問い合わせる
5. 入金先を見る振込先が個人名義の口座なら、その時点で入金しない
6. 人に話す家族や、下記の相談窓口に話してから決める

出典:金融庁の注意喚起をもとに当サイト作成

実在の業者の名前や登録番号を名乗る詐欺もあるため、検索で名前が見つかっても、それだけで安心はできません。手順4のように、連絡先を自分で調べて確かめることが決め手になります。

振り込んでしまったら、すぐにすること

警察と振込先の金融機関に連絡する

預金保険機構によると、振り込め詐欺などの被害にあったら、すぐに最寄りの交番・警察署や振込先の金融機関に連絡し、振り込んだ口座の取引の停止を依頼します。金融機関は、口座が犯罪に使われた疑いがある場合に、取引を止める措置をとります。

振り込め詐欺救済法による分配金

振り込め詐欺救済法では、犯罪に使われた口座を金融機関が凍結し、預金保険機構のホームページで公告したうえで、被害者からの申請を受け付けて「被害回復分配金」を支払います(預金保険機構)。

押さえておきたい点内容
戻る額の上限振込先の口座が凍結されたときの残高が上限
引き出されていた場合分配金は被害者の振込額に応じて減額される
全額の補償ではない被害額の全額を国や金融機関が補塡する制度ではない
問い合わせ先預金保険機構 振込詐欺被害回復業務課 03-6262-6794

出典:預金保険機構「振り込め詐欺救済法に基づく公告」をもとに当サイト作成

口座からお金が引き出される前に凍結できるかどうかで、戻る額は大きく変わります。「おかしい」と気づいた時点で、1分でも早く連絡することが大切です。

「お金を取り戻せる」という勧誘は二次被害を疑う

被害にあった人を狙って、「返金の手続きを代行する」「被害を取り戻せる」と持ちかける詐欺もあります。預金保険機構は、振り込め詐欺救済法に基づく返金制度を装った詐欺や、被害回復を持ちかける詐欺的な勧誘に注意するよう呼びかけています。分配金の手続きは、預金保険機構の公告を見て、振込先の金融機関に申請するものです。

相談窓口

勧誘に応じてしまって不安なときや、トラブルに遭ったときは、次の窓口に相談できます。

窓口連絡先
金融庁 金融サービス利用者相談室「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」0570-050588(IP電話からは03-6206-6066)、平日10時〜17時。ウェブは24時間受付
証券取引等監視委員会 情報提供窓口0570-00-3581(一部のIP電話からは03-3581-9909)
最寄りの警察署―

出典:金融庁「SNS・マッチングアプリ等で知り合った者や著名人を騙る者からの投資勧誘等にご注意ください!」をもとに当サイト作成

お金の相談先全般は、お金の相談先の選び方でも紹介しています。

よくある質問

少額の出金ができたなら、本物の投資ではないのですか

そうとは限りません。金融庁が紹介している手口では、最初は少額の出金に応じて信用させ、そのあと高額の入金をさせています。出金できたことは、安全の証明になりません。

登録業者の名前で検索して見つかれば安心ですか

実在の業者の名前や登録番号をかたる詐欺もあるため、それだけでは安心できません。業者の公式サイトなどで自分で調べた連絡先に問い合わせ、本当にその業者からの勧誘かを確かめてください。

振り込んだお金は戻ってきますか

振込先の口座が凍結されれば、振り込め詐欺救済法の手続きで分配金を受け取れる可能性があります。ただし、戻る額は凍結時の口座の残高が上限で、全額が戻るとは限りません(預金保険機構)。

まとめ

SNS型投資詐欺の被害は、2025年に9,523件、1,288億円で、前年から5割近く増えました。入口の多くはSNSの広告やダイレクトメッセージで、LINEのグループへ誘い、偽のアプリで利益が出ているように見せたうえで、高額の入金をさせるのが典型的な流れです。振り込んでしまったら、すぐに警察と振込先の金融機関に連絡すれば、振り込め詐欺救済法で分配金を受け取れる可能性があります。

「必ずもうかる」「元本保証」「個人名義の口座に入金」は、それだけで疑ってよいサインです。まずは今日、金融庁の「金融事業者一括検索機能」の場所を確かめ、親や家族とも共有しておいてください。勧誘を受けたときにすぐ調べられる状態にしておくことが、いちばん確実な予防策になります。

参考文献

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