年金はいくらもらえる?国民年金と厚生年金の違い、2026年度の年金額と受け取り方

日本の公的年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員や公務員が加入する厚生年金保険の「2階建て」の仕組みです。2026年度の老齢基礎年金は、40年間保険料を納めた満額で月7万608円です。会社員として38年間、平均35万円の給与(賞与を含む月額換算)で働いた場合、老齢厚生年金を合わせた年金額は月約14.4万円になります(当サイトの試算)。年金は原則65歳から受け取りますが、60歳から75歳までの間で、受け取り始める時期を選べます。

「年金は将来もらえるのか」「自分はいくらもらえるのか」と気になりながら、仕組みはよく分からないという人は多いはずです。この記事では、日本年金機構と厚生労働省の情報をもとに、公的年金の仕組み、加入の種類、2026年度の年金額と保険料、自分の年金額の計算のしかた、受け取り始める時期の選び方を、当サイトの試算とあわせて整理します。

目次

公的年金は「2階建て」

日本年金機構によると、日本の公的年金は次の2つでできています。

階制度加入する人
1階国民年金(基礎年金)20歳以上60歳未満のすべての人
2階厚生年金保険会社員・公務員など

出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」をもとに当サイト作成

会社員や公務員は、国民年金と厚生年金保険の両方に加入しています。そのため、老後には1階の老齢基礎年金に加えて、2階の老齢厚生年金も受け取れます。かつて公務員などが加入していた共済年金は、制度の一元化で現在は厚生年金保険に加わっています(日本年金機構)。

国民年金の加入者は3種類

国民年金の加入者は、働き方などによって3つに分かれ、保険料の納め方が違います。

種別主な対象保険料の納め方
第1号被保険者自営業者、農業者、学生、無職の人など自分で納める(納められないときは免除や猶予の仕組みがある)
第2号被保険者会社員、公務員など給料から天引き
第3号被保険者第2号被保険者に扶養されている配偶者自己負担なし(配偶者の加入する制度が負担)

出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」をもとに当サイト作成

第1号被保険者が納める国民年金保険料は、2026年度で月1万7,920円です。まとめて前払い(前納)すると割引があり、納めた保険料は全額が社会保険料控除の対象になります(日本年金機構)。会社員が給料から天引きされる厚生年金保険料の仕組みは、給与明細の見方で紹介しています。

納められないときは「未納」より「免除・猶予」

保険料を納めるのが難しいときは、申請して免除や納付猶予を受けられます。日本年金機構によると、手続きをせずに未納のままにした場合と、免除を受けた場合では、将来の年金額に次のような差が出ます。

状態老齢基礎年金の年金額への反映障害・遺族基礎年金の受給資格期間
全額納付全額数える
全額免除全額納付した場合の2分の1数える
4分の3免除(月4,480円を納付)8分の5数える
半額免除(月8,960円を納付)8分の6数える
4分の1免除(月1万3,440円を納付)8分の7数える
納付猶予反映されない(受給資格期間には数える)数える
未納反映されない数えない

出典:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」をもとに当サイト作成(納付額は2026年度)

全額免除でも、その期間は年金額の2分の1(税金で賄われる分)が受け取れます。未納のままにすると、この2分の1も受け取れず、障害や死亡といった万が一のときに障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない場合があります(日本年金機構)。退職して収入が減ったときなどは、未納にせず申請することが大切です。

2026年度の年金額

厚生労働省(2026年)によると、2026年度の年金額は、前年度から国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%引き上げられました。

年金の例2025年度(月額)2026年度(月額)
国民年金(老齢基礎年金の満額・1人分)6万9,308円7万608円
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)23万2,784円23万7,279円

出典:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとに当サイト作成

厚生年金の「標準的な年金額」は、平均的な収入(賞与を含む月額換算で45.5万円)で40年間働いた夫と、その配偶者の2人分の老齢基礎年金を合わせた金額です。なお、1956年4月1日以前生まれの人の老齢基礎年金(満額)は月7万408円です(厚生労働省・2026年)。

働き方によって年金額は大きく違う

同じ資料では、実際の加入の記録をもとに、働き方ごとの2026年度の年金額の目安も示しています。

働き方(加入期間の中心)年金額の目安(月額)
厚生年金に20年以上加入していた男性17万6,793円
厚生年金に20年以上加入していた女性13万4,640円
国民年金(第1号)が中心だった男性6万3,513円
国民年金(第1号)が中心だった女性6万1,771円

出典:厚生労働省(2026年)をもとに当サイト作成

自営業などで国民年金が中心の人は、厚生年金の上乗せがないぶん、受け取る年金は少なくなります。日本年金機構によると、国民年金の付加保険料を納めた期間がある場合は、「200円×付加保険料を納めた月数」が老齢基礎年金(年額)に上乗せされます。iDeCoなどで自分で上乗せを準備する選択肢もあります。

自分の年金額を計算してみる

老齢基礎年金は「納めた月数」で決まる

日本年金機構の「老齢年金ガイド」によると、老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480か月)の保険料をすべて納めると満額の年額84万7,300円になり、納めた月数が少ないとその割合に応じて減ります。会社員や公務員の期間、専業主婦(主夫)として第3号被保険者だった期間も、納めた期間に含まれます。

保険料を納めた期間老齢基礎年金(年額)月額
40年(480か月)84万7,300円約7.1万円
35年(420か月)約74.1万円約6.2万円
30年(360か月)約63.5万円約5.3万円

※満額に月数の割合をかけた当サイトの試算(2026年度の金額)

老齢厚生年金は「給与」と「加入した月数」で決まる

老齢厚生年金の中心となる報酬比例部分は、2003年4月以降の加入期間について「平均標準報酬額×5.481/1000×加入した月数」で計算されます(日本年金機構)。平均標準報酬額は、賞与を含めた給与を、現在の価値に直して平均した額です。

22歳で就職し、60歳まで38年間(456か月)会社員として働いた場合を、当サイトで試算しました。

平均標準報酬額(賞与を含む月額換算)老齢厚生年金(年額)老齢基礎年金(満額)と合わせた月額
25万円約62.5万円約12.3万円
30万円約75.0万円約13.3万円
35万円約87.5万円約14.4万円
45万円約112.5万円約16.4万円

※当サイトの試算。老齢基礎年金は満額(40年納付)、老齢厚生年金は報酬比例部分のみで、経過的加算や加給年金は含めていない。実際の年金額は、生年月日・加入記録・将来の年金額改定によって変わります

平均の給与が10万円違うと、年金は月に約2万円違います。長く働くほど、給与が高いほど年金額は増えますが、今の給与の7割も8割も年金で受け取れるわけではありません。老後の生活費との差を、どう準備するかを考える材料になります。

受け取り始める時期は60歳から75歳まで選べる

老齢年金は原則65歳から受け取りますが、早めることも遅らせることもできます。日本年金機構によると、早めたり遅らせたりした場合の増減は次のとおりで、一度決まった率は一生変わりません。

受け取り方変わる割合最大
繰上げ(60〜64歳から受け取る)1か月早めるごとに0.4%減る60歳からで24%減
繰下げ(66〜75歳から受け取る)1か月遅らせるごとに0.7%増える75歳からで84%増

※繰上げの減額率は1962年4月2日以降生まれの人の場合(それ以前の生まれは1か月0.5%、最大30%) 出典:日本年金機構「年金の繰上げ受給」「年金の繰下げ受給」をもとに当サイト作成

繰上げは請求したあとに取り消せず、障害年金など他の年金との関係で不利になる場合もあります(日本年金機構)。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、繰下げなら別々に時期を選べますが、繰上げは原則として同時に請求する必要があります。

何歳まで生きると得になるか

65歳から受け取った場合と、受け取り始める時期を変えた場合で、受け取った年金の合計が並ぶ年齢を当サイトで計算しました。

受け取り始める年齢増減の割合65歳開始と受け取り総額が並ぶ年齢
60歳24%減約80歳10か月(これより長生きすると65歳開始のほうが多い)
63歳9.6%減約83歳10か月
68歳25.2%増約79歳11か月(これより長生きすると68歳開始のほうが多い)
70歳42%増約81歳11か月
75歳84%増約86歳11か月

※当サイトの試算。年金額の改定、税金・社会保険料、在職中の年金の調整、加給年金などは考慮していない

繰下げると、受け取り始めてから約12年で65歳開始の人に追いつく計算です。ただし、年金にも税金や社会保険料がかかり、受け取る額が増えると負担も増える場合があるため、手取りで比べると並ぶ年齢は後ろにずれることがあります(当サイトの考え方)。何歳まで生きるか、働いて収入があるか、貯蓄がどれだけあるかによって、どちらが合うかは変わります。

自分の記録は「ねんきん定期便」で確かめる

日本年金機構からは、毎年誕生月に「ねんきん定期便」が届きます。これまでの加入期間や、加入の記録に応じた年金額の目安が書かれています。インターネットの「ねんきんネット」でも、電子版のねんきん定期便や加入の記録を確かめられます(日本年金機構)。

記録に漏れや誤りがあると、将来受け取る年金が少なくなります。転職の回数が多い人や、結婚で名前が変わった人は、加入期間が途切れていないかを一度確かめておくと安心です。

よくある質問

年金は将来もらえなくなるのですか

公的年金の年金額は、毎年度改定されながら支払われています。2026年度は、基礎年金が1.9%、厚生年金が2.0%引き上げられました(厚生労働省・2026年)。自分がいくら受け取れる見込みかは、ねんきん定期便で毎年確かめられます。

会社員の配偶者(第3号被保険者)の年金はどうなりますか

第3号被保険者の期間は、保険料を自分で納めなくても、老齢基礎年金を計算するときの納めた期間に含まれます(日本年金機構)。厚生年金の上乗せはないため、配偶者本人の年金は老齢基礎年金が中心です。

年金だけで老後の生活はできますか

人によって違います。上の試算では、会社員として38年間働いた人の年金は月約12〜16万円でした。老後の生活費の見積もり方は、ライフプランの立て方で紹介しています。

まとめ

公的年金は、全員が加入する国民年金と、会社員・公務員が加入する厚生年金保険の2階建てです。2026年度の老齢基礎年金は満額で月7万608円、夫婦の標準的な厚生年金は月23万7,279円でした。当サイトの試算では、平均35万円の給与で38年間働いた人の年金は月約14.4万円です。受け取り始める時期は60歳から75歳の間で選べ、70歳から受け取ると約82歳で65歳開始の受け取り総額に追いつきます。

まずは、日本年金機構から届く「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、自分がこれまで加入してきた記録と、将来の年金額の見込みを確かめてみてください。自分の年金額の目安が分かると、老後に向けて足りない分をどう準備するかを具体的に考えられます。

参考文献

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