株式は会社の持ち主(株主)になるための証券で、債券は国や会社にお金を貸したことを示す証書です。債券はあらかじめ決まった利子を受け取り、満期には額面のお金が戻ってきます。株式は配当や値上がりに上限がない代わりに、会社の業績しだいで配当がなくなり、株価が大きく下がることもあります。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の推計では、1年間の値動きの大きさ(リスク)は、国内株式が国内債券の約7倍です。
ニュースで「株安・債券高」と聞いても、何がどう違うのかは、学校で教わる機会がほとんどありません。この記事では、日本証券業協会・金融経済教育推進機構(J-FLEC)・財務省・GPIFの資料をもとに、株式と債券の仕組み、受け取れるお金、値動きの大きさ、金利との関係、組み合わせて持つ意味を整理します。
株式と債券の違いを一覧で比べる
まずは、株式と債券の違いを一つの表にまとめます。
| 比べる点 | 株式 | 債券 |
|---|---|---|
| 持つと何になるか | 会社の持ち主(株主) | 国や会社にお金を貸した人 |
| 受け取れるお金 | 配当(業績しだいで増減・ゼロもある)と、売ったときの値上がり益 | あらかじめ決まった利子 |
| 満期 | ない | ある(満期に額面が戻る) |
| 元本 | 保証されない | 発行体が約束どおり払えば、満期に額面が戻る |
| 値動き | 大きい | 比較的小さい(金利が動くと価格が変わる) |
| 発行体が赤字になったら | 配当が減る・なくなることがある | 赤字でも利子は払われる |
| 発行体が破綻したら | 価値がほぼなくなることが多い | 株主より先に弁済を受けるが、全額戻るとは限らない |
| 身近な例 | 上場企業の株、株式の投資信託 | 個人向け国債、社債、債券の投資信託 |
出典:日本証券業協会「投資の時間」、金融経済教育推進機構(J-FLEC)「金融経済ナビ」をもとに当サイト作成
J-FLECの教材は、この違いを「利子か配当か」と整理しています。会社から見ると、社債で集めたお金は借金なので、赤字でも黒字でも利子を払わなければなりません。株式で集めたお金は返す必要がない代わりに、利益が出たときに配当として株主に分けます。赤字の年は配当が払われないこともあります。
債券の仕組み:決まった利子と、満期に戻る額面
債券は、国・地方自治体・会社などが、お金を借りるために発行する「借用証書」のようなものです。日本証券業協会によると、債券には次のような魅力があります。
- 満期になれば、額面(元本)を受け取れる
- 持っている間、決まった時期に利子を受け取れる
- 満期の前でも、市場で売って換金できる
発行する主体によって、国が発行する国債、地方自治体の地方債、会社の社債、外国の政府や企業が発行する外国債券などに分かれます。
個人が買いやすいのは個人向け国債
会社員が最も手軽に買える債券は、財務省が個人向けに発行している個人向け国債です。1万円から買え、毎月発行されています。2026年10月に募集された3種類の利率は次のとおりです。
| 種類 | 利率(年・税引前) | 利率の決まり方 |
|---|---|---|
| 変動10年 | 2.05%(初回) | 半年ごとに見直す。下限は0.05% |
| 固定5年 | 2.39% | 満期まで変わらない |
| 固定3年 | 2.07% | 満期まで変わらない |
出典:財務省「個人向け国債の発行条件等」(2026年10月7日)をもとに当サイト作成
100万円を固定5年に預けると、利子は年2万3,900円(税引前)で、5年間で11万9,500円です(当サイトの試算)。国が元本と利子を払うことを約束している債券なので、銀行の預金と並んで、元本を守りたいお金の置き場所になります。
株式の仕組み:配当と値上がり益、上限も下限も大きい
株式を買うと、その会社の持ち主の一人になります。受け取れるお金は、会社が利益の一部を分ける配当と、買ったときより高く売れたときの値上がり益です。会社によっては株主優待もあります。
会社が成長して利益が増えれば、配当も株価も上がる可能性があり、受け取れる金額に上限はありません。反対に、業績が悪くなれば配当は減り、株価も下がります。満期がないため、元本が戻る日もありません。
値動きの大きさは株式が債券の約7倍
株式と債券の値動きの違いは、数字で見ると分かりやすくなります。GPIFは、国民の年金の積立金を運用するために、資産ごとの値動きの大きさ(標準偏差)を過去30年の実績から推計しています。
| 資産 | リスク(1年間の値動きの大きさの目安) | 期待リターンの例(過去30年投影ケース) |
|---|---|---|
| 国内債券 | 2.60% | 0.5% |
| 外国債券 | 9.72% | 2.2% |
| 国内株式 | 19.19% | 4.8% |
| 外国株式 | 20.35% | 5.4% |
出典:年金積立金管理運用独立行政法人「第5期中期目標期間における基本ポートフォリオについて~詳細~」をもとに当サイト作成。期待リターンは4つの経済シナリオのうち、過去30年の経済を将来に投影したケースの名目値
標準偏差とは、年ごとの成績が平均からどれだけばらつくかを表す数字です。国内株式なら、期待リターンの4.8%を中心に、年によっては上下に20%前後ぶれることが珍しくない、という意味になります。国内債券のぶれは2.6%程度なので、国内株式は約7倍の値動きです(当サイトの計算)。
期待リターンも株式のほうが高く見込まれています。値動きが大きい(リスクが高い)資産ほど、その分だけ高いリターンが期待される関係を、ここから読み取れます。
金利が上がると債券の価格は下がる
債券を持つうえで知っておきたいのが、金利との関係です。日本証券業協会は、債券の価格と金利を「シーソーの関係」と説明しています。
金利が2%の債券を持っているときに、世の中の金利が3%に上がると、あとから発行される3%の債券のほうが魅力的になります。そのため2%の債券は買い手が減り、価格が下がります。金利が下がるときは、その逆です。
| 世の中の金利 | 利率1%・残り10年の債券の価格(額面100円) |
|---|---|
| 1%のまま | 100円 |
| 2%に上昇 | 約91円 |
| 3%に上昇 | 約83円 |
※当サイトの試算(年1回利払いの単純な理論価格)
満期まで持っていれば額面の100円で戻りますが、途中で売ると損が出ます。日本銀行が政策金利を引き上げてきたこの2年ほどは、すでに発行された債券や債券型の投資信託の価格が下がりやすい時期でした。金利の動きと家計への影響は、金利が上がるとどうなる?で詳しく紹介しています。
個人向け国債は、発行から1年が過ぎれば、直前2回分の利子相当額を差し引いた額で国に買い取ってもらえるため、金利が上がっても元本を割り込むことはありません(財務省)。市場で売買される一般の債券とは、この点が違います。
株式と債券を組み合わせて持つ意味
株式と債券は、片方だけを選ぶものではなく、組み合わせて持つこともできます。GPIFの推計では、国内債券と国内株式の値動きの相関係数(同じ方向に動く度合い)はマイナス0.254で、株式が下がる局面で債券が下支えすることが期待されます。
GPIFは、2025年4月からの基本ポートフォリオを国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4資産に25%ずつとし、全体の値動きの大きさ(標準偏差)は10.34%と推計しています。株式だけで持つより、ぶれが小さくなる計算です。
個人の場合は、お金を使う時期で分けて考えると決めやすくなります。
| お金の使い道 | 向いている置き場所の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 1〜3年以内に使う | 預金、個人向け国債 | 使う時期に元本が減っていると困る |
| 5〜10年後に使う | 預金・国債に、株式や債券の投資信託を一部組み合わせる | 値下がりから回復する時間が少しある |
| 10年以上使わない | 株式を含む投資信託などを中心に | 値動きの大きさを時間で吸収しやすい |
※当サイトの考え方。投資には元本割れのリスクがある
預金と投資の分け方は預貯金と投資の使い分け方、商品ごとの特徴は金融商品の選び方で紹介しています。
よくある質問
債券なら絶対に損をしないのですか
そうとは限りません。満期の前に売ると、金利の上昇で価格が下がっていて損が出ることがあります。会社が発行する社債は、会社が破綻すると額面が戻らないこともあります。外国債券は為替の動きでも円での価値が変わります。
初心者が債券を持つなら何から考えればよいですか
元本を守りながら利子を受け取りたいなら、個人向け国債が最も仕組みの分かりやすい選択肢です。値動きのある債券や債券型の投資信託は、金利が動いたときに価格がどう変わるかを理解してから検討するとよいと当サイトでは考えています。
株式と債券のどちらが得ですか
どちらが得かは、使う時期と、値下がりにどこまで耐えられるかで決まります。GPIFの推計でも、株式は期待リターンが高い代わりに値動きが大きく、債券は値動きが小さい代わりに期待リターンが低いとされています。
まとめ
株式は会社の持ち主になる証券で、配当と値上がり益に上限がない代わりに、値動きが大きく元本は保証されません。債券は国や会社にお金を貸す証書で、決まった利子と満期の額面を受け取れる一方、金利が上がると途中で売るときの価格は下がります。GPIFの推計では、国内株式の値動きは国内債券の約7倍で、両者は逆向きに動きやすい関係にあります。
まずは、手元のお金を「3年以内に使う」「5〜10年後に使う」「10年以上使わない」の3つに分けて書き出してみてください。使う時期が決まれば、株式と債券のどちらを中心に置くかを自然に選べます。お金の基本の全体像は金融リテラシーってなに?にまとめています。
参考文献
- 日本証券業協会「債券価格と金利って、どういう関係なの?(投資の時間)」(2026年10月13日閲覧)
- 日本証券業協会「債券投資の魅力って何?(投資の時間)」(2026年10月13日閲覧)
- 日本証券業協会「債券にはどんな種類がありますか?(投資の時間)」(2026年10月13日閲覧)
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「利子か配当か「債券と株式の違い」(金融経済ナビ)」(2026年10月13日閲覧)
- 財務省「個人向け国債の発行条件等」(2026年10月7日)
- 財務省「個人向け国債 商品概要」(2026年10月13日閲覧)
- 年金積立金管理運用独立行政法人「第5期中期目標期間における基本ポートフォリオについて~詳細~」(2026年10月13日閲覧)
ご注意
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄・金融商品・投資手法を推奨するものではありません。投資には価格の変動によって損失が生じ、元本を下回るリスクがあります。株式の配当は、業績などにより減配・無配となる可能性があります。記載内容は執筆時点の情報に基づいており、正確性・完全性を保証するものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任でお願いいたします。

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